避難誘導システムと関連する法制度について

この規格は、不特定多数の⼈が出⼊りするデパート、ホテル、スーパーなどの商業施設、事務所、⼯場 などの業務施設、娯楽施設、地下施 設のある建造物,連絡通路を含む地下駅舎、地下街などの建物内の 照明及び誘導灯が停電などで使⽤できなくなったとき、その建物からの 避難を容易にするために設置する 蓄光式の避難誘導システムについて規定されています。(2011年1⽉20⽇制定)

蓄光式避難誘導システムに用いる蓄光式の安全標識・誘導ラインは、誘導灯及び誘導標識に追加して設置されるものですが、人々が建物内のどこからでも秩序立って集合場所へ避難できるように、首尾一貫した連続性のある情報を提供することを基本原則としています。

蓄光式の安全標識、誘導ラインなどに固有の要求事項

1. 蓄光式の安全標識及び誘導ラインに使用する蓄光材の下限輝度(6.3.1)

JIS Z 9107 の表-2 又は表-3 の副分類のいずれかに該当することが望ましいとされています。

表-2 常用光源蛍光ランプ D65を用いたりん光材料の最低りん光輝度

副分類 最低りん光輝度(単位mcd/㎡)
2分後 10分後 20分後 30分後 60分後
JA 210 50 24 15 7
JB 440 105 50 31 15
JC 880 210 100 62 30
JD 1760 420 200 124 60

励起光条件:200 lx で照射して励起時間 20 分

表-3 キセノンアーク灯を用いたりん光材料の最低りん光輝度

副分類 最低りん光輝度(単位mcd/㎡)
2分後 10分後 20分後 30分後 60分後
A 108 23 11 7 3
B 210 50 24 15 7
C 690 140 68 45 20
D 1100 260 130 85 35

励起光条件:1000 lx で照射して励起時間 5 分

2.設置場所における蓄光式避難誘導標識に使用する蓄光材の下限輝度(6.3.2)

蓄光機能が正しくその性能を発揮するには、一定の照度が必要であることから、避難路の照度を床面中央で平均照度 50Lx 以上、かつ、壁面最下部で平均照度 25Lx以上確保することを前提とし、15 分間照射の結果として、下記数値をクリアしなければならないとされました。

設置された蓄光式安全標識、誘導ラインなどのりん光輝度の下限値

励起停止後の時間 りん光輝度
10分 15mcd/㎡以上
60分 2mcd/㎡以上

3.低い設置場所の蓄光式避難誘導ラインの幅と使用する蓄光材の下限輝度(6.4)

上記りん光輝度の下限値を満たす蓄光式誘導ラインの幅は基本値が 100mm とされましたが、細い連続ラインの場合、ライン幅と輝度との関係において、下表のりん光輝度性能を持つことが求められています。

ライン幅 10分後 60分後
100mm 15 mcd/㎡ 2 mcd/㎡
50mm 30 mcd/㎡ 4 mcd/㎡
25mm 60 mcd/㎡ 8 mcd/㎡
5mm 300 mcd/㎡ 40 mcd/㎡

代表的な設置例

代表的な設置例01
壁面両側の低い位置に蓄光式誘導ラインを設置

代表的な設置例02
左記に加え、最終非常口の周りにも蓄光式誘導ラインを設置

代表的な設置例03
階段の踏み面に蓄光式誘導ラインを設置

JIS Z9107「安全標識‐性能の分類、性能基準及び試験方法」屋内

この規格は、安全標識の色材、予想される使用環境、主な構造材、照明方法、取付方法、光沢などの諸条件
にかかわる分類方式に基づき、それぞれに要求される性能基準及び試験方法について規定されています。
(2008年4月20日改正)蓄光材料の最低りん光輝度数値及び試験方法は、この規格が母体となっています。

性能基準

1. 蓄光材の下限輝度

下図に示す4つの分類のいずれか一つに該当しなければなりません。

表-2 常用光源蛍光ランプ D65を用いたりん光材料の最低りん光輝度

副分類 最低りん光輝度(単位mcd/㎡)
2分後 10分後 20分後 30分後 60分後
JA 210 50 24 15 7
JB 440 105 50 31 15
JC 880 210 100 62 30
JD 1760 420 200 124 60

励起光条件:200 lx で照射して励起時間 20 分

表-3 キセノンアーク灯を用いたりん光材料の最低りん光輝度

副分類 最低りん光輝度(単位mcd/㎡)
2分後 10分後 20分後 30分後 60分後
A 108 23 11 7 3
B 210 50 24 15 7
C 690 140 68 45 20
D 1100 260 130 85 35

励起光条件:1000 lx で照射して励起時間 5 分